企業として外国人を支援する体制の基準
特定技能外国人を受け入れるにあたって、企業(受入機関)が満たさなければならない基準はたくさんあります。その中で、多くの企業様が混同しやすいのが「受入れ機関としての基準」と「支援体制の基準」です。
実は、この2つは全く別の基準です。「会社として外国人を受け入れる基準」はクリアしていても、「外国人を支援する体制の基準」を満たしていなければ、自社で直接外国人のサポート(自社支援)を行うことはできません。
今回は、この「支援体制の基準」について、詳しく解説していきます!
1.「受入れ機関の基準」と「支援体制の基準」の違い
特定技能の審査において、企業側がクリアすべき主な基準は以下の2つに分かれています。
受入れ機関としての基準(会社が適切かどうか)
労働法令や社会保険・税金の関係法令をきちんと守っているか、過去1年以内に会社都合の退職者(非自発的離職)や行方不明者を出していないかなど、企業として外国人を受け入れるための基本的な適格性を問うものです。特定技能1号・2号のどちらを受け入れる場合でも必須となります。
支援体制に関する基準(会社が支援を適切に実施できるか)
特定技能1号の外国人に対して義務付けられている、受け入れ準備や生活面のサポート(1号特定技能外国人支援)を、会社として適正に支援を行う「体制」が整っているかを問うものです。こちらは特定技能1号を受け入れる場合のみに求められる基準ですが、登録支援機関に支援の全てを委託することで、企業は「支援体制の基準を満たしている」とみなされる仕組みです。
つまり、「うちは法令違反もないし、適正な会社だから自社で支援もできるはず!」と思っていても、支援に特化した体制(支援体制の基準)が整っていなければ、外国人の受け入れをすることはできません。
しかし、ご安心ください。「受入れ機関としての基準(法令遵守など)」は企業として絶対にクリアしなければならないマストの条件ですが、「支援体制の基準」については、自社で満たせなくても大丈夫なのです。
2.基準を満たせば「高額な委託費用」がゼロに!
自社で支援の要件をクリアできない場合は、国が認定した外部のサポート専門機関である「登録支援機関」に支援のすべてを委託すればよいというルールになっています。
実際のところ、専門的な支援体制を自社だけで一から構築するのは非常にハードルが高いため、特定技能外国人を受け入れている企業のほとんどが、無理に自社での支援を行わず、この「登録支援機関を利用する(全部委託する)」という方法を選択しています。
しかし、これは裏を返せば、これから説明する「支援体制の基準」を自社で満たすことができれば、登録支援機関に毎月支払う高額な委託費用をかけずに、自社で直接支援(自社支援)を行うことが可能になるということです。
受け入れる外国人の人数が増えれば増えるほど、登録支援機関への委託費用は企業にとって大きな負担となります。将来的なコスト削減や社内でのノウハウ蓄積を見据えて、自社支援を目指す企業様も徐々に増えてきています。
それでは、自社支援が認められるためには具体的にどのような体制を整えればよいのか、法律で定められている7つの基準を見ていきましょう!
3.自社で支援を行うための「支援体制の基準」7つのポイント
以下のいずれかに該当し、かつ、社内から「支援責任者」と「支援担当者」を選任している必要があります(兼任可)。
・過去2年間に、就労ビザ等を持つ中長期在留者の外国人を適正に受け入れた実績があること。
・過去2年間に、外国人の生活相談業務に従事した経験がある役職員がいること。
・上記と同程度に支援業務を適正に実施できると認められること。
外国人の母国語など、本人が内容を十分に理解できる言語で情報提供や相談対応ができる体制が必要です。通訳を雇い入れることまでは求められませんが、必要な時に委託などで通訳人を確保できる体制が必要です。
支援の実施状況に関する帳簿等の文書を作成し、外国人の雇用契約が終了した日から1年以上保管するルールになっています。
ここが意外と引っかかりやすいポイントです!支援の適正性を保つため、支援責任者や担当者は、対象の外国人を直接監督する立場(直属の上司や部署の長など)にあってはいけません。指揮命令権を持たない、別部署の職員などが担当する必要があります
過去に特定技能外国人を受け入れていた場合、義務付けられている支援をサボったことがないことが求められます。
支援責任者や担当者が、外国人本人だけでなく、その外国人を監督する立場にある者(直属の上司など)とも、3か月に1回以上の定期的な面談を実施できる体制が必要です。
建設や造船など、各産業分野を管轄する省庁が設置する「協議会」への加入など、分野ごとの独自のルールがあれば、それに適合している必要があります。
まとめ
特定技能外国人の受入れでは、「雇用する会社としての要件」と「支援する体制としての要件」の2つのハードルがあります。自社で支援体制を整えるのが難しい間は登録支援機関に委託するのが一般的ですが、毎月のランニングコストや社内へのノウハウ蓄積を考えると、最終的には「自社支援(完全内製化)」を目指すのが企業様にとって最も理想的な形と言えます。
当事務所では、特定技能外国人の「完全自社支援」への移行を推奨しており、企業様が自社で支援を行うためのサポートやコンサルティングに力を入れています!
「なんとなく支援の勝手が分かってきたので、そろそろ自社支援に切り替えてコストを削減したい」 「ゆくゆくは完全自社支援ができるよう、社内にノウハウを蓄積する体制づくりを伴走してほしい」
など、企業様の現在の状況に合わせた最適な自社支援化への道筋をご提案いたします。
自社支援への切り替えや、社内での支援体制の構築にご関心がある企業様は、ぜひ当事務所のコンサルティングサービスのご利用をご検討ください。まずは現在の状況のヒアリングから、お気軽にご相談をお待ちしております!